2018年8月17日〜9月2日

 

タイルとホコラとツーリズム season5 《 山へ、川へ。》

 Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2018年8月17日(金)から9月2日(日)まで、谷本 研と中村裕太による「タイルとホコラとツーリズム season5 《 山へ、川へ。》」を開催いたします。


 京都の街角に多く残る地蔵菩薩や大日如来などを奉ったホコラ(路傍祠)。その多くはコンクリートや石詰みの基礎の上に木造の社を持ちますが、そのしつらえにタイルを取り入れたものも見受けられるなど、その「生態」は多様でいて奥深く、様々な興味と想像を掻き立てます。

その生態系に着目したリサーチを出発点に、谷本 研と中村裕太の二人の美術家が、ゆるやかなユニットとして2014年より取り組むプロジェクト「タイルとホコラとツーリズム」。

 「ホコラ三十三所巡礼案内所」をイメージした会場を起点に、市内の特徴的なホコラを巡った「ホコラ三十三所巡礼ツアー」などを開催した2014年の「タイルとホコラとツーリズム」以降、2015年の「season2 《こちら地蔵本準備室》」では「地蔵本」の出版を目標に様々な資料・文献を集め、2016年の「season3 《白川道中膝栗毛》」では書籍『北白川こども風土記』に導かれ、仔馬とともに白川街道を京都から大津へキャラヴァンしました。また「東アジア文化都市2017京都 ─アジア回廊 現代美術展─ 」での発表となった2017年の「season4 《一路漫風!》」では、対馬・沖縄・台湾・済州島など、隣国との境界的な島々を巡りながら、ホコラを通じて各地の土着信仰を見つめてきました。こうして「タイル」と「ホコラ」と「ツーリズム」をきっかけにはじまる二人の旅は、いつもそれぞれ異なる注目・興味にたどり着いては、その「眼差し」を土産として持ち帰り、並べ・見せ合い・話し合い・思い出したりするものであったと言えるのではないでしょうか。


 5回目となる今回。二人は『山へ、川へ。』をテーマにそれぞれフィールドにくりだし、「石」への「眼差し」を持ち帰り、山と川に見立てたギャラリー・パルクに重ね合わせて、其処にツーリズムを出現させます。また、会期中には関連イベントとして、「season3 《白川道中膝栗毛》」にて巡り合った京都・山中町の「重ね石」を再び訪れる路線バスツアー「川から山へ|山中町・重ね石再訪」や、5年におよぶ活動を織り込んだ谷本筆による『参詣曼荼羅』の絵解き付きサンセットBBQ「屋上ホコラ盆」を開催します。


 ギャラリー・パルクではお盆の恒例企画となった本展の会場には、5年におよぶこれまでの活動を織り込んだ谷本筆による『参詣曼荼羅』をはじめ、「石」にまつわる行為を手がかりとした中村による展示が開かれます。鑑賞者の皆様には、二人の美術家の旅の土産(あるいは土産話)から、彼らの足跡を辿る旅をお楽しみいただけるのではないでしょうか。また、その眼差しを通じて「私たちの身近な暮らし中にある、興味深いアレコレ」を発見できる機会になるのではないでしょうか。

関連イベント

①路線バスツアー 「川から山へ|山中町・重ね石再訪」

京都と滋賀を結ぶ白川街道(志賀越道、山中越とも)の県境には、大きな岩に磨崖仏が彫られた「重ね石」があります。かつては地元の方が地蔵盆もおこなっていたそうですが、今では人知れず旧道にひっそりとたたずんでいます。そんな重ね石に、河原で拾った石を運んで願掛けをします。

[日時] 8月25日(土) 13:00〜17:00 *小雨決行・荒天中止
[参加] 予約不要・参加無料 *但し路線バス代として往復700円程度必要
[持物] おやつ、飲み物、歩きやすい服装、雨具など
[行程]
【13:00】 京阪祇園四条駅出入口4(四条川端北西角)集合 → 河原で石拾い(徒歩移動) → バス停「京阪三条」より 【13:55】 発「京阪バス56A比叡平行」乗車 → 【14:19】 バス停「山中」着、重ね石にて願掛け → 山中町散策 → バス停「山中上」より 【15:37】 発「京都バス51 京都駅前行」乗車 → 【16:20】 バス停「四条烏丸(烏丸通)」着 → ギャラリー・パルクにて展示見学後解散

②サンセットBBQ 「屋上ホコラ盆」 

京都市内の屋上ビアガーデンにて足洗い(打ち上げ)。「タイルとホコラとツーリズム」5年間の活動をコスモロジーとしてまとめた参詣曼荼羅の絵解き付き。

[日時] 8月25日(土) 17:00〜 *17:00までにギャラリー・パルク集合
[定員] 20名(事前申込制/先着順)
[料金] 4,300円(大丸KYOTOビアガーデンでの飲食代)
[申込] 【氏名 / 住所 / 電話番号】 を明記の上、 【 info@galleryparc.com 】までメールにてお申し込みください。




作家略歴

谷本 研|TANIMOTO Ken

1973年神戸生まれ。京都市立芸術大学大学院造形構想専攻修了。アートとその周縁に関わりながら企画活動を行う。主な展覧会に「当世物見遊山」(お宿吉水、1999)、「六甲ミーツ・アート芸術散歩2016」(六甲ケーブル山上駅、2016)など。デザインや漫画も手掛け、「ブリコラージュ・アート・ナウ 日常の冒険者たち」(2005 / 国立民族学博物館)や「Dan Graham: Beyond」(2009 / MOCA)図録に漫画を執筆。観光ペナントの収集研究家として、著書に『Pennant Japan』(PARCO出版)がある。

 

中村 裕太|NAKAMURA Yuta

1983年東京生まれ。2011年京都精華大学芸術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点から陶磁器、タイルなどの学術研究と作品制作を行なう。最近の展示に「第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ」(クイーンズランド・アートギャラリー、2015)、「第20回シドニー・ビエンナーレ」(キャレッジワークス、2016)、「あいちトリエンナーレ2016」(愛知県美術館、2016)など。

 

 

タイルとホコラとツーリズム 会場風景
タイルとホコラとツーリズム 会場風景

タイルとホコラとツーリズム

(ギャラリー・パルク、2014)


「ホコラ三十三所巡礼案内所」をイメージした会場では谷本《三十三所ミニホコラ》、中村《納涼盆棚観光》などを展示。関連イベントに「ホコラ三十三所巡礼ツアー」やトークセッション「信仰を観光する」を開催。

撮影:表恒匡

season2 《こちら地蔵本準備室》 会場風景
season2 《こちら地蔵本準備室》 会場風景

season2 《こちら地蔵本準備室》

(ギャラリー・パルク、2015)


タイルとホコラにまつわる様々な資料や文献を集めた「ホコラテーク」が出現。イベントには「タイルとホコラ・ナイトツアー」やトークセッション「屋根裏談義」を開催。

撮影:表恒匡

season3 《白川道中膝栗毛》 会場風景
season3 《白川道中膝栗毛》 会場風景

season3 《白川道中膝栗毛》

(ギャラリー・パルク、2016)


『北白川こども風土記』に導かれ、ポニーとともに白川街道を歩き、道中に出会う石仏に花を手向けるキャラヴァンの記録を展示。「こどもと郷土 『北白川こども風土記』を読む2」や「山中町・重ね石を訪ねる路線バスツアー」を開催。

撮影:表恒匡

season4 《一路漫風 ! 》会場風景

season4 《一路漫風 ! 》

(京都芸術センター、2017、「東アジア文化都市2017京都 ─アジア回廊 現代美術展─ 」)


東シナ海を取り囲む対馬・沖縄・台湾・済州島にみられる土着信仰のホコラを巡るツアーの記録を展示。各地を訪れた4組の旅行者による「ツーリストリレートーク ─東シナ海のホコラを訪ねて─」を開催。

撮影:表恒匡

 

 

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