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澤田 華

Sawada Hana

作家インタビューを掲載しました。>>こちら

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  • 《避雷針と顛末》展示風景
     撮影:花田ケンイチ

  • 《避雷針と顛末》展示風景
     撮影:花田ケンイチ

  • 《避雷針と顛末》展示風景

写真や映像、文字、オブジェクトなどさまざまなメディアで構成されたインスタレーション作品《避雷針と顛末》。澤田華はこの作品を再解釈し、『本』というメディアでの再展示・再構築を試みます。全4回に分けて送られる断片を集めて出来上がる本は、購入者だけの作品、あるいは展覧会として様々な鑑賞体験をもたらします。

 

ロット:5

販売価格:¥55,000(税・送料込み)


2020年夏に広島市現代美術館で開催された展覧会「夏のオープンラボ:澤田華 360°の迂回」で発表した作品、《避雷針と顛末》のアートブックです。全4回に分けて、ページ(内容物)をお送りします。

 

《避雷針と顛末》は、他人の会話の断片を書き留めたメモを起点に、写真や映像などさまざまなメディアを使いながら展開するインスタレーション作品です。
美術館の展示室で展示されたこの作品を、「本」というフォーマットの中で再展示し、元の作品を異なるメディアや物質に置き換えながら作品を起動させることを試みます。

 

■初回封入内容

文字が書かれたメモ(レーザープリント)、写真(インクジェット プリント)、インターネットで検索した物品の資料(レーザープリント)、iPhoneのペーパークラフト など

 

■2回目封入内容

ポスター、インターネットで検索した事物の資料(レーザープリント)、漢字の形のアクリル板 など

 

■3回目封入内容

インターネットで検索した事物の資料(レーザープリント)、話し声(URL)、写真(インクジェット プリント)など

 

■4回目封入内容

映像(URL)、映像の関連資料(レーザープリント)など

 

※制作の進行状況により変更になる可能性あり

 

m@p premium

ロット:1

販売価格:¥220,000(税・送料込み)

 

 

「スタンダード」と同じく、《避雷針と顛末》のアートブックを4回に分けてお送りします。

「プレミアム」では、展示作品により近い素材やサイズで制作します。

 

 

 

作家情報

澤田華|Sawada Hana

Gesture of Rallyシリーズについて

写真を見るとき、わたしたちは大抵そこに写っている被写体についての話をしようとする。
これは昨日食べたお肉、これは東京に住んでる従兄弟、これは瀬戸内の海で… 写真と被写体は密着していて、写真そのものを見ることは困難なのである。
写真は、写されたものが過去の現実に確実に存在していたことを証明する。
したがって、被写体は、必ず現実のものでなければならない。
写真に手を加え、イメージを変容させることが可能であることは、現代においては周知のことではあるが、わたしは上述の写真固有の特性を全面的に引き受けて、下記のような試みを始めることにした。
古本に載っている写真に写り込んだ、正体不明の物体を指さし「これは何か?」という問いを立てる。
実在したはずなのに断定できない「これ」を言い当てようと、情報を集め、推理していく。
撮影された時代や場所を調べ、「これ」の色や形を観察し、似ているものを探す。 しかし、「これ」に対する情報がどれほど積み重なっても、答えに辿り着くことは結局ない。
そこで立ち現れるのは、問いに対する問いである。
「これ」とはなにか?
「これは何か?」とはなにか?
写真とはなにか?
一つの問いに無数の答えの可能性があるのではなく、問い自体に複数の意味が含まれていることに気付いたとき、それまでの問答は空転する。
わたしは「何か」を解明しようとする素振りの傍らで、「これ」と指差す先をじっと見つめながら、問いを反芻し続けているのである。

 

作家略歴

1990年 京都生まれ
2014年 京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース
2016年 京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程 修了

個展

2020年 「夏のオープンラボ:澤田華 360°の迂回」(広島市現代美術館 / 広島)
2019年 「車窓のそとは既に過去」(波止場 / 愛知)
「『見えないボールの跳ねる音』」(MEDIASHOP gallery2 / 京都)
2018年 「見えないボールの跳ねる音」(Gallery PARC)
2017年 「ラリーの身振り」 KUNST ARZT(京都)
2015年 「【C】【A】【T】」 kara-S(京都)
2014年 「Second contact」 KUNST ARZT(京都)

グループ展

2020年 「楽観のテクニック」(BnA Alter Museum / 京都)
「踊り場と耕作」(HOTEL ANTEROOM KYOTO / 京都)
2019年 「Roots Routes Travelers」(成安造形大学【キャンパスが美術館】 / 滋賀)
「船橋わたす2019」(奈良県立大学 / 奈良)
「あいちトリエンナーレ2019」(愛知県美術館ギャラリー / 愛知)
「テキサス・ヒットがやってくる」(Lights Gallery / 愛知)
「フラッシュメモリーズ」(The Third Gallery Aya / 大阪)
「Identity XV -curated by Meruro Washida-」(nichido contemporary art / 東京)
「timelake08」(巡回展、高松・大阪・札幌・東京)
「凍りつく窓:生活と芸術」(CAGE GALLERY / 東京)
「群馬青年ビエンナーレ2019」(群馬県立近代美術館 / 群馬)
2018年 「showcase #7 写真とスキャン PHOTO & SCAN」(eN arts / 京都)
2017年 「1floor2017『合目的的不毛論』」 神戸アートビレッジセンター(兵庫)
「場|BA」 愛知県美術館ギャラリーJ室(愛知)
「写真新世紀展2017」東京都写真美術館(東京)
「未来の途中の星座‐美術・工芸・デザインの新鋭9人展」 京都工業繊維大学美術工芸資料館(京都)
「群馬青年ビエンナーレ2017」 群馬県立近代美術館(群馬)
2016年 「Reproduction」 成安造形大学 ギャラリーアートサイト(滋賀)

受賞

2017年 第40回写真新世紀 優秀賞
2017年 群馬青年ビエンナーレ2017 入選
 
作品画像Gesture of Rally #1705
作品画像Gesture of Rally #1705
作品画像Gesture of Rally #1705

「見えないボールの跳ねる音」

展示風景

(2018, Gallery PARC )

 

 

《Gesture of Rally #1902》

《Gesture of Rally #1902》
2019
インクジェットプリント、レーザープリント、映像、音声、木材、他
サイズ可変

《57のプレビューおよび目下のシーン》

《57のプレビューおよび目下のシーン》
2019
ビデオ、20分

《Gesture of Rally #1705》

《Gesture of Rally #1705》
2017
木材、石粉粘土、映像、写真、テキスト、アクリル板、他
サイズ可変

 

「Identity XV -curated by Meruro Washida-」展示風景「Identity XV -curated by Meruro Washida-」(2019, nichido contemporary art / 東京)
撮影: 岡野 圭

「あいちトリエンナーレ2019」展示風景

「あいちトリエンナーレ2019」2019、愛知県美術館ギャラリー / 愛知
クレジット確認中

《Gesture of Rally #1805》

《Gesture of Rally #1805》
2018
インクジェットプリント、レーザープリント、映像、音声、アクリル板、石粉粘土、他
サイズ可変
「showcase #7 写真とスキャン PHOTO & SCAN」2018、eN arts / 京都
撮影: シュヴァーブ・トム

 

 

作家インタビュー

 

─ [m@p]について

ギャラリーでの展覧会ができなくなった中で、できることからやっていくのはすごく良いと思いました。
作家も今まで通りのやり方だけでは行き詰まったりすることもあるので、違うアプローチができる良い機会をもらったと思います。

 

 

─ プランを考えるきっかけについて

枠組みが決まっている中で、どうやってやろうかと考えたのですが、私自身は封筒というサイズや、ポストに入れるという点よりは4回にわけて徐々に届くというところに着目しました。 一番最近の作品もそうですし、それまでにずっとつくっていたシリーズ「Gesture of Rally」(ラリーの身振り)もそうですが、ひとつ決めたものごとを色々と調べて検証していくという流れがあるので、インスタレーション形式で展示する時も、見ていくと徐々に明らかになっていくという流れで展示しています。なのでページによって順番がつくれる本の形式が合うのではないかと思いました。 そこで、作品を再解釈し、本という形式を借りて4回に分けて徐々に展示するというプランを考え始めました。それによって購入者の方にもひとつの物事への検証結果が段階的に届くというような。

 

 

─ スタンダードプランについて

《避雷針と顛末》という作品をベースにしたアートブックです。毎回、ページが少しずつ送られてきます。3ヶ月ごとに届くので、届いていない期間も、半強制的に本の中で謎とされていることを考え続けなければいけないというのも、このシステムと作品が合うところだなと思っています。

 


─ その作品を展示した展覧会は、昨年の個展ですよね。

2020年の夏に広島市現代美術館で個展をしました(「夏のオープンラボ:澤田華 360°の迂回」展)。 その展覧会の枠自体が「オープンラボ」という実験的な枠組みだったので、作品も最近ずっと作っていた「Gesture of Rally」というシリーズではなくて、少し違う作品にチャレンジしようと、新しい作品を作りました。 ただ、やっていることは同じで、いろんなメディアで調べていきます。そこで扱っているものは、今までの写真とは違っていて、人の会話を盗み聞きして断片的にメモしたものがもとになっています。 そこに書かれている言葉は会話として成立していないのですが、そのメモに出てくるフレーズも前から気になっていて、そのメモをどうにかできないかと思い、作品をつくってみることにしました。

 

 

─ 会話のメモは今までとっていたものですか?

そうですね。3~4年前にやり始めて、一度それを使って作品をつくったこともあります。それがプロトタイプ的なものとしてあって、その時つくった作品と「Gesture of Rally」を合体させたハイブリッド版が広島での作品です。 メモは今でもたまにしていて、最初は家の中で家族の会話を書いていたのですが、今は例えば喫茶店で大きな声で話している人の会話や、家にいる時に聞こえてくる家の外で大きな声で喋っている人の会話をメモしています。要するに、少し騒がしいなと思う時です。騒がしいのでそれほど聞きたいたいわけではないけれど、耳をふさぐとか場所を変えるとかではなくあえて向き合ってメモしてみようということでやり始めました。

 

 

─ そこからどんな作品になっていったのですか。

残されたメモの言葉をインターネットで調べたり、Twitterで同じような会話をしている人を探してみたりしました。それと、会話のメモを何人かの人に渡して、歯抜けになっている会話、実際は歯抜けかどうかもわからないですが、その会話の間を想像してもらったり、そのメモが書かれた状況とか、どういう人が喋っていたとかを想像して書き足してもらうということをしてもらいました。 展覧会ではその文章を台本にして、役者さんに演じてもらい、それを動画で撮影しました。さらにその映像の音声を聞きながら、私がもう一度メモをとり直しました。その元となっている文章と全く同じものをもう一度、動画に合わせて書き直していきました。

 

 

─ 今回のアートブックは作品の記録集とは異なるものですね。

記録写真を使っていないので記録集ではないです。広島では実際の空間に展示されているけれど、その作品がもし本という形式の中で成立するとしたらどういうふうに構成されるかを考えてつくっています。実際の展示では、「こう見てほしい」とか「こう歩いてほしい」といったような人の動線を考えるというのが、本だとやりやすいと感じています。 アートブックのミニ写真集(生写真)もつけることにしました。今回、ページ番号を入れていないのですが、そうすると重なり順がわからなくなるので、写真を見てわかるように。

 

 

─ プレミアムについて

スタンダードはサイズの制限があって少し苦労したので、プレミアムでは、本来このサイズ感がいいなというものをつくることができたらと考えています。素材も、スタンダードはレーザープリントとインクジェットプリントが中心ですが、もう少し紙の質などもこだわりたいと思っています。

 

 

─ 他の作家のプランについて

麥生田兵吾さんの「めくれない」写真集というのは気になります。情報もあまりないので余計に。 1stの人と3rdの人とはスタンスが違うかもしれませんね。1stが出た時(2020年夏)の状況では、まず人とのコミュニケーションに焦点をあてる人が多かったのでは、と思っています。

 

 

 

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