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Exhibition info

小出麻代

Koide Mayo

とるに足らぬものなど何ひとつない

Nothing is insignificant

2024.3.8. ~ 3.31.
水・木休廊 *20日[水・祝]は開廊

Statement

展覧会によせて

 

この展覧会は、過去の作品で用いてきたものの残りや、作品から溢れ落ちたものなどで構成されています。
そこに、穴や傷、折れ、曲がりなど、これまで自身の作品から遠ざけてきた要素を受け入れ、技法として加えることで、「呼び継ぎ*」のように、「新しさ」だけでは到底辿りつくことができないような佇まいの何かを生み出したいと思っています。それは、ものだけの話ではありません。

かつて、思想史家の藤田省三が「新品文化」と名付けた時代から、さらに加速したこの社会に抗うために 小さな穴をひとつ開けて、空気を、光を、風景を、流れを少しだけ変化させてみます。

いま、その中をわたしは、過去の自分に、時間に、手を振り返しながら歩いています。

 

*1 破損した陶磁器をパッチワークのように他の破片を使って修復する技術

 

小出麻代

About

Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2024年3月8日から3月31日まで小出麻代による個展「とるに足らぬものなど何ひとつない」を開催いたします。

 

小出麻代(こいで・まよ)は、物や場所、時間や環境、経験が人間の「こころ」にどのように作用し、そこからどのような関係が生じ得るのかに関心を寄せています。
ガラス・鏡・電球・糸・紙・落ち葉・枝・針金・光などの日常の断片とともに、シルクスクリーン、サイアノタイプなどによる写真プリント、シリコンによるオブジェクトなどを多層的に組み合わせたインスタレーションは、鑑賞者の経験や記憶などと関係することで、そこにそれぞれの風景を立ち上げます。


また近年では様々な土地と人々に取材しながら収集した場や地域の「歴史や記憶の断片」をも素材のひとつとして、オブジェクトや映像と関係させたインスタレーションを積極的に発表しています。
小出の目によって選ばれ、手によって並べられたオブジェクトや言葉、写真や映像などは、いずれも大きな記憶や歴史の断片であったり、長い時間の中の一瞬でしかありませんが、そうした断片を寄せて、重ねて、関係させることで、「いま」を取り巻く不可視の要素のあり様や関わりに気づきをもたらします。小出は「見えるもの / 見えないもの」を等しく眼差し、拾遺したその断片を時々において組み合わせ、「もの / もの」や「もの / ひと」の関係をつくりだします。そして鑑賞者はそれぞれの関係を追いかけたり、そこに生じる一瞬の光景に出会うため、目の前の作品や空間を「よく見てみる」ことを促されます。


本展は、近年に小出が取り組んできた作品制作の過程で用いたものや、一旦は不要として取り置かれてきた様々な要素を見つめ直し、改めて組みあわせることに主眼を置いたものです。こうして小出は自らの記憶をも含めた様々な時間や背景の断片を組み合わせ、その違いを補完し合いながらも新たなあり様を生じさせます。
外を取材し、内に取り込んできたこれまでの作品制作とは異なり、現在までの自身の記憶や経験をも大きな因子として、内と外をいわば入れ子の構造に置くことで、そこに新たな回路を開こうとする本展は、小出らしい取り組みであるとともに、新たな試みであるともいえます。

 

なお、会期中の3月17日[日] には 畑井恵氏(水戸芸術館現代美術センター 学芸員)を迎えてトークイベントを開催します。申込不要、先着順受付となります。是非ご参加ください。

Event

トークイベント「これから/これまで」
小出麻代 × 畑井恵(水戸芸術館現代美術センター学芸員)

 

■日 時:3月17日[日]15時から17時
■定 員:20名程度(申込不要/先着順受付)

 

Works

CV

Biography

1983 大阪府生まれ・在住

2009 京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程芸術専攻修了

2017ー 京都精華大学芸術学部非常勤講師

 

Selected Exhibition

2023

個展「声声が灯して The polyphony of our narratives」(尼崎市総合文化センター9階)

「光のむこう側で」(京都精華大学ギャラリーTerra-S / 京都)

 

2022
「NICE TO MEET ART2022『庭の音/garden notes 小出麻代・山本理恵子』」クロスホテル大阪 / 大阪)

 

2021
個展「月 に 日 に」with months and days / suns and moons」(VOU / 京都)

「ALLNIGHT HAPS2020『翻訳するディスタンシング』」(HAPS / 京都)

 

2020

個展「黙字」(千鳥文化 / 大阪)

「日日の観察者」(HOTEL ANTEROOM KYOTO Gallery9.5 / 京都)
個展「形代-かたしろ」(オーエヤマ・アートサイト / 京都)

 

2019
個展「うつしがたり」(枚方市立御殿山生涯学習美術センター / 大阪)

「トロポスフィア-素材が開く新しい世界」(京セラギャラリー / 京都)

 

2018
個展「地に還る-地から足を離す」(Gallery PARC / 京都)
「生業・ふるまい・チューニング _小出麻代ー越野潤」(京都芸術センター / 京都)

 

2017
個展「うまれくるもの」(あまらぶアートラボA-lab / 兵庫)

「empty park」(Gallery PARC / 京都)

 

2016

「連鎖とまたたき」(京都精華大学ギャラリーフロール / 京都)
「PAT in kyoto 京都国際版画トリエンナーレ2016」(京都市美術館)


2015

「まちの中の時間」(あまらぶアートラボA-lab / 兵庫)
「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2015 枯木又プロジェクト」(旧中条小学校枯木又分校 / 新潟)
「still moving『SUUJIN MAINTENANCE CLUB』」(元祟仁小学校 / 京都)


2014

個展「 空のうえ 水のした 七色のはじまり」(the three konohana / 大阪)


2013

個展「すいこみ はきだし ひろがる」(LABORATORY / 京都)


2012

「 1floor2012 『TTYTT,-to tell you the truth,-』金井悠、小出麻代」(神戸アートヴィレッジセンター / 兵庫)


2010

個展「nu show」(AD&A gallery / 大阪)


2009

個展「Lights,Camera,Action」(AD&A gallery / 大阪)
個展「mockmentary garden」(番画廊 / 大阪)


Award

2023 尼崎市文化未来奨励賞

 

Residence

2018 「END OF SUMMER」(YaleUnion / ポートランド,アメリカ)

 

2013 「artFUNKL residency [Aspirus 04]」(artFUNKL / マンチェスター,イギリス)

 

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