2019年7月26日〜8月11日  

 

洪亜沙:アンバー・ランド / Amberland

本展は様々なクリエイション活動へのサポートの一環として、広く展覧会企画を公募し、厳正な審査により選出されたプランを展覧会として実施するコンペティション「Gallery PARC Art Competition」の採択プランによる展覧会です。
2014年から毎年開催し、本年で6回目となる「Gallery PARC Art Competition 2019」は、応募された66プランから平田剛志(美術批評)、勝冶真美(京都芸術センタープログラムディレクター)の2名の審査員を交えた厳正な審査を経て採択された3つの展覧会、洪亜沙「アンバー・ランド」、加藤舞衣「部屋と外」、坂口佳奈・二木詩織 「キャンプができたらいいな。」を7月~8月にかけて連続プログラムにより開催いたします。

ステートメント

現実と虚構の境目を曖昧にしていくような作品を制作している。人種や習慣などからくる、人々の見方の違いや、時代による変化に着目し、物事を多視点的に捉えるように心掛けている。
私の作品の中には私の空想の物語がある。その物語を、長らく美術の主題であった「歴史」や「宗教」と結びつけ、現実の空間から切り離された舞台装置のようなものを作っている。
矛盾を含んだ現実と虚構を同時に捉えた世界を表現することに渇望を抱き、制作している。
 フランスの小説『日々の泡』の前書きから引用する。


その例証がここに展開する数ページで、お話は隅から隅まで想像でつくりあげたものだからこそ全部ほんとの物語になっているところが強みだ。物語のいわゆる現実化とは、傾斜して熱っぽい気分で、ムラ多くねじれの見える平面上に現実を投影することだ。

(ボリス・ヴィアン著 曾根元吉訳『日々の泡』新潮文庫)

 

洪 亜沙

展覧会について

【 展覧会コンセプトやテーマ 】

 私たちは常に何かの社会や時代に繋がれているが、それらには必ず外部がある。その外部が見えた時、自分が立つ土地は急に脆くなる。同じことはこの世界そのものについてもいえる。世界の外部を少しでも想像しようとすると、この世界が存在しているのかわからなくなるときがある。
 この浮遊するような感覚は、テーマパークに来たときの感覚と似ている。来場者はしばしば、テーマパークの外側を知っていながら、内側の世界に没入してしまう。
 今回の展覧会では、架空の歴史や宗教をつくりあげるが、それは別の現実をつくるということではない。テーマパークでの夢うつつなのである。

 

【 プラン採択、実施にあたってのコメント 】

プランが採択されとても嬉しく思っています。個展は初めてなので不安も多くありますが、なんとか切り抜けてその先が見えたらいいなと思います。PARCはホワイトキューブであるのにわざわざ「美術」の「台座」を設けようとしているので自分で少し笑いそうになるのですが、そういうところは楽しんでいきたいと思います。また鑑賞者にとって、単純に面白いこと、興味深いと思えるような仕上がりにできればと思っています。

 


Q & A

-本公募に応募した理由について
 3フロア使用できることに魅かれたからです。


-今回の展覧会について簡単に説明ください
 アルベルティの窓の隠喩を誤読した世界と男女の痴話喧嘩を、絵画・立体・テキストを用いて物語ります。テーマパークやミュージアムといった俗世間的な空間から、フロアを上がることで、礼拝堂のような神聖な空間へ到達できるという演出をしています。


-今回の展覧会(作品)について、目論見・挑戦・希望など自身にとってのポイントを教えてください
 「西洋美術史」のパラレルワールドをつくるという挑戦をしました。また、それをキッチュなロマコメとして表す目論見があります。テーマパーク感をうまく出せたらいいなと思ってます。


-現在のメディア(素材や技法、表現方法など)はどのような理由で選択したものか
 手軽で使いやすいこと、適切であること。


-現在までの作品に通底する問題意識や興味など
 「本当のこと」や「本物」はあるのだろうか、という疑問。


-今後の活動の中で目指したい、取り組みたいポイントなど
 もっと生(なま)の表現ができたらいいなと思う。


-作品をつくることはどういうことか
 私個人にとっては、自身に課す義務であり、理由や意味はなく、ただつくるということです。一般的には、人間の欲望の1つだと思います。


-作品を見せることはどういうことか
 作品の存在を確認すること。また、存在させること。


作家略歴

 

洪 亜沙|Hong Ahsa

1996年 大阪府生まれ
2018年 嵯峨美術大学 芸術学部造形学科 油画分野 卒業
現在 嵯峨美術大学 大学院芸術研究科 在学

グループ展

2019年 On the Steps 2019 (Steps Gallery / 東京)
2018年 うのぜみ2018(Steps Gallery / 東京) 
第21回JAALA国際交流展(東京都美術館 / 東京)
les signes 2018(Oギャラリーeyes / 大阪)
2017年 one room(嵯峨美術大学 / 京都)
SAGA DASH 2017(Art-Space MEISEI / 京都)
Joyful(Art-Space MEISEI / 京都)
 
《イーランの昇天》

《イーランの昇天》

2019

サイズ可変 

木、油彩、アクリル、電球、粘土、布 

《アンバー叙事詩(sfx)》

《アンバー叙事詩(sfx)》

2018

サイズ可変

木、アクリル、粘土、セメント

《思い出》

《思い出》

2018

530×728mm

木、油彩、ペンキ、テンペラ、鉛筆 

《思い出(海)》

《思い出(海)》

2018

400×605mm

木、油彩、ペン、鉛筆 

《髪結い》

《髪結い》

2017

サイズ可変 

机、椅子、紙、石 

 

 

   

 

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