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Exhibition info

ナオミ・リンコン・ガヤルド

Naomi Rincón Gallardo

ホルムアルデヒド・トリップ

The Formaldehyde Trip

2024.1.13. ~ 1.28
水・木休廊

About

Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2024年1月13日[土]から1月28日[日]まで、ナオミ・リンコン・ガヤルドによる『ホルムアルデヒド・トリップ』を展示します。

本展は、京都精華大学の「マイノリティの権利、特にSOGIをはじめとした〈性の多様性〉に関する知識と、それらを踏まえた表現倫理のリテラシーを備えたアートマネジメント人材育成プログラム|あなたの隣を歩く人がいる」 の一環で、メキシコを拠点に活動するナオミ・リンコン・ガヤルドによる『ホルムアルデヒド・トリップ』を、Gallery PARCでの展覧会と京都芸術センターでの上映パフォーマンスの2つの形式で紹介するものです(日本初演/初展示)。

自らを「グローバル・サウス出身の有色のクィアで脱植民地のフェミニスト、ビジュアル・アーティストで、抜け目ない研究者」と語るガヤルドは、近年、人種・民族・ジェンダー・セクシュアリティ・階級といった様々な権力関係を交差的に分析し、リサーチにもとづき神話的な世界観を練り上げています。
2017年に発表された本作は、先住民の土地や女性の権利を守るために活動し、2010年に凶弾に倒れたベティ・カリーニョ(1973-2010)が冥界を旅する物語です。新大陸の探検家によってホルマリン液で保存されたアホロートル(メキシコサンショウウオ)がガイドとなり、過去と現代におけるネオコロニアルな環境をたゆたう亡霊や精霊たちと共に、視る者を黄泉の国の旅路へと案内します。

 

 

マイノリティの権利、特にSOGIをはじめとした〈性の多様性〉に関する知識と、それらを踏まえた表現倫理のリテラシーを備えたアートマネジメント人材育成プログラム「あなたの隣を歩く人がいる」
|主催|京都精華大学
|共催|京都市、公益財団法人世界人権問題研究センター、一般社団法人HAPS
|協賛|株式会社グランマーブル
|プロジェクト監修|山田創平(京都精華大学国際文化学部長・教授)
|プロジェクトコーディネーター|内山幸子
|企画協力|吉田守伸
|展示・パフォーマンスコーディネーター|勝冶真美、正木裕介 [Gallery PARC]
令和5年度 文化庁 大学における文化芸術推進事業

|お問い合わせ|
京都精華大学 学長室グループ
〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町137
TEL : 075-702-5263(平日のみ)
Eメール : lgbtqseminar@kyoto-seika.ac.jp
※プログラム当日のお問い合わせはメールでお願いします。 

Event

関連イベント

以下のプログラムの会場は京都芸術センターです。Gallery PARCではありませんので、ご注意ください。

 

上映パフォーマンス「ホルムアルデヒド・トリップ」

■ 日 時:2024年1月14日(日)17:30開場/18:00開演 *上演は約1時間予定
■ 会 場:京都芸術センター フリースペース(南館1F)
■ 料 金:無料
■ 定 員:100名(要事前申込・2024年1月13日締切)
■ 出 演:ナオミ・リンコン・ガヤルド、サン・チャ、ダニシュタ・リベラ

■ 詳 細:https://tonari-aruku.kyoto-seika.ac.jp/event/413/ (公式サイト)

 

アーティスト・トーク

■ 日 時:2024年1月13日(土)16:00-18:00
■ 会 場:京都芸術センター 大広間(西館2F)
■ 料 金:無料
■ 出 演:ナオミ・リンコン・ガヤルド
■ 聞き手:橋本梓(国立国際美術館主任研究員)
■ 通 訳:佐藤まな
■ 定 員:100名(要事前申込・2024年1月12日締切)

■ 詳 細:https://tonari-aruku.kyoto-seika.ac.jp/event/522/ (公式サイト)

 

両イベント共に、公式ウェブサイトからお申込みください(申込締切:各開催日の前日まで)

Works

『ホルムアルデヒド・トリップ』

「ホルムアルデヒド・トリップ」は、凶弾に倒れたミシュテカの環境保護アクティビスト、ベティ・カリーニョ(1973-2010)が冥界を旅する様子を想像した作品である。
この政治的かつシュールレアリスム的な時を超える旅には、メソアメリカの神々や魔女、動物などが多元宇宙より来たる仲間として加わり、ベティの遺したものが果てなく広がるよう、彼女と共に歩んでケアをする。ベティは自らが殺されたその瞬間を起点に、死者の世界から語り掛ける。

その旅は、彼女がメキシコの月の女神コヨルシャウキへと変貌してゆくプロセスそのものだ。グロリア・アンサルドゥーアによれば、夜の力を体現するコヨルシャウキは、バラバラにされた自らの体を繋ぎ合わせることで重傷から回復する力を持っているという。

アンサルドゥーアの「コヨルシャウキの急務」論は、まさにこの力から誕生した議論である。また本作には、ホルマリン漬けにされたアホロートルが、語り部、教育を受けたガイド役の先住民、アレクサンダー・フォン・フンボルト(ドイツの博物学者・探検家。1769-1859)の欲望/研究の対象、増えゆくディルド、癒しのカプセル、そして過去と現代における植民地的な採掘主義の間をたゆたう亡霊めいた存在として登場する。

 

字幕:日本語・英語/オーディオ言語:スペイン語・英語・ドイツ語/2017年
日本語字幕翻訳:林かんな
日本語字幕制作協力:有限会社ホワイトライン

 

Artist

Profile

ナオミ・リンコン・ガヤルド(1979年生まれ)は、メキシコシティとオアハカを行き来して暮らし、活動するビジュアルアーティスト。
脱植民地主義的クィア(cuir)の視座から、リサーチに基づきつつ批判的観点を取り入れた神話的な世界観を練り上げ、ネオコロニアルな環境における対抗世界の創造について考えている。
シアターゲームやポピュラーカルチャー、メソアメリカの宇宙論、スペキュレイティブ・フィクション、土地特有の祭礼や工芸、脱植民地主義的フェミニズム、そしてクィア・オブ・カラー(有色のクィア)批評への関心を融合させた作品が特徴。ウィーン美術アカデミーの実践プログラムで博士号を取得。
近年の展覧会やパフォーマンス公演に、マドリードのLa Casa EncendidaにおけるTzitzimime Trilogy〔ツィツィミメ三部作〕(2023年)、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2022年)、第34回サンパウロ・ビエンナーレ(2021年)、オアハカ現代美術館におけるUna Trilogía de Cuevas〔洞窟三部作〕(2020年・単独公演)、クンストラウム・インスブルックにおけるMay your thunder break the sky〔あなたの雷が空を砕かんことを〕(2020年・単独公演)、第11回ベルリン・ビエンナーレ(2020年)、メキシコシティのエル・エコ実験美術館におけるHeavy Blood〔重き血〕(2019年・単独公演)がある。

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